洋上風力発電

当社は、世界的な脱炭素社会実現に向けた取り組みへの貢献を目指して、今後の成長が期待される浮体式洋上風力発電市場への参入に向けた事業開発を進めています。

洋上風力発電設備は着床式と浮体式に分けられますが、沖合に向かうことで風力エネルギーのポテンシャルは高くなることから、着床式では設置できない水深に対応できる浮体式の市場成長が国内外で見込まれています。そこで当社は、浮体式海洋石油・ガス生産設備で長年培ってきた浮体・係留技術を活かした浮体式洋上風力発電設備を提供すべく取り組んでいます。

浮体は、更なる大型化が予想される10MW以上の風車の搭載にも対応したTLP(Tension Leg Platform)型とセミサブマーシブル(Semi-submersible)型の2つの型式で、設置海域条件や事業者や地元の要望に対応する浮体形式を提案します。緊張係留を採用するTLP型は、浮体の優れた安定性と係留設置面積を最小化できる特長があります。一方で、セミサブマーシブルで採用する緩係留は、TLP型での基礎杭の打設に適さない海底地質の設置海域で用います。

TLP型とセミサブマーシブル型の基本的な浮体構造は同じで、3本の円柱(カラム)の間を上下2本の箱桁で接続し、1つのカラムの直上に風車を搭載するシンプルな構造です。下部の箱桁は強度部材以外にポンツーン(pontoon)の役割も担っており、十分な浮力が確保できることで造船ドックでの風車搭載後の出渠、もしくは10m以下での浅い岸壁で風車搭載ができ、そのままの状態で設置海域への曳航を可能にします。これによって、使用できるドックや岸壁の制約が少なくなり、また、洋上で浮体に風車を搭載する方式に比べて現地設置工事費用の低減を図ることができます。さらに、メンテナンス費用の削減に向けて、万一、発電設備等で重故障が生じた場合に係留を切離し岸壁へ曳航できる機構を取り入れています。

製造時と運転時における優れた経済性と高い信頼性を両立する洋上風力発電設備の早期実現を目指します。

関連リンク