FPSO/FSO

FPSO(Floating Production, Storage and Offloading system)
浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備。海洋油田・ガス田のある洋上で石油・ガスを生産するための浮体式設備。生産した原油を船体内の貯油タンクに貯蔵し、輸送タンカーへ積出する。長いもので20年以上洋上での生産活動を行う。
FSO(Floating Storage and Offloading system)
浮体式海洋石油・ガス貯蔵積出設備。石油・ガスの生産設備を搭載していない、貯蔵・積出専用の浮体式設備。貯蔵設備を持たない浮体式生産設備、固定式生産設備、陸上生産設備等から原油を受け入れて船体内の貯油タンクに貯蔵し、輸送タンカーへ積出する。

概要

FPSO/FSOは、固定式プラットフォームに代わる新しい海洋油田生産方式として1970年代から使用されている浮体式生産設備であり、その多くは船舶の形をしています。固定式プラットフォームと比較して様々なメリットがあり、現在は海洋石油・ガス生産設備の主流となっています。

FPSOの船上には、油処理設備、ガス処理設備、水処理設備、発電設備等の生産設備が搭載されます。船体内部には、原油貯蔵用のタンクがあり、原油積出設備(輸送タンカーの係留装置、積出用ポンプ、フローティングホース等)が搭載されています。消火装置、救命艇、ヘリポートなど、基本的な設備の他、常駐して生産活動に従事する乗組員のための居住設備(寝室、食堂、シャワー、トレーニング器具など)も搭載されます。

  • 水深300mが限界と言われる固定式プラットフォームに対し、水深1,000m超の大水深海域にも対応
  • 洋上での位置を一定に保つ強固な係留設備により、厳しい海気象条件下にも設置可能
  • パイプライン等インフラの建設が不要なため、工期を短縮し費用を抑えることが可能
  • 洋上での工事が少ないため、生産開始までの期間が短い
  • 別の海域にある油田に移設し再利用することが可能

事業紹介映像 – FPSO/FSO (07:14)

船体

FPSOの船体(Hull)は、新造する場合(New-Build)と、中古タンカーを改造する場合(Conversion)があります。開発を終えたFPSOは、他の油田へ移設して再利用することもでき、その場合は新しい油田への条件に合うよう再改造(Modification)されます。いずれの場合も、海象条件、設置条件、生産量、生産期間などに応じて設計、建造される、その油田開発のためだけにオーダーメイドされる世界でひとつしかない設備となります。

新造

海底油田やガス田は、その地域によって、石油・天然ガスの性状、水深から波、風、潮流などの海象条件が全て異なり、FPSOにはそれぞれの条件に合わせた仕様が必要とされる他、顧客である石油会社の定める仕様要求も多種多様となります。当社は、各FPSOのオペレーション開始から終了までの20年超の長期間に亘り当社が顧客を含むステークホルダーに提供するライフサイクルバリューの最大化という最重要目標を具現化することを目的に、FPSO業界におけるリーディングカンパニーとして培った設計・建造技術及び豊富なオペレーション&メンテナンス提供実績を活用した次世代FPSO用新造船体2種を開発し、進行中プロジェクトに導入しています。

改造

1985年、第1基目となるFPSOの建造(改造)工事を実施して以来、当社は石油タンカーのFPSO/FSOへの改造工事を多数手がけてきました。世界各地の主要な造船所と強力なリレーションシップを構築し、1986年に生産を開始したFPSO Kakap Natunaを始めとする多くの当社建造FPSOが現在も生産活動を行っています。

係留設備、生産設備を搭載する前のFPSOの船体
左の写真の船体に係留設備、生産設備を搭載したFPSO

生産設備

生産設備(Production Facility)はプロセス(Process)、トップサイド(Topside)などとも呼ばれ、油処理設備、ガス処理設備(ガスを油層に再圧入するためのガス・コンプレッサー等)、水処理設備、発電設備、コントロール・システムを主要な機器として船上に設置されます。

海底の井戸元から生産されるフルイド(Fluid)と呼ばれる油層流体は、通常ガスや水その他の不純物を含んでいるため、プロダクション・セパレーター(油層流体セパレーター)と呼ばれる圧力容器で、原油、ガス、随伴水等に分離します。分離された原油は船腹の貯油タンクに貯蔵され、定期的に配船される輸送タンカーに積み出されます。

原油産出に伴って排出されるガス(随伴ガス、大半はメタン)は、原油と分離された後、海底パイプラインで陸上へ輸送されたり、FPSO上でボイラー燃料やガスエンジン燃料として利用される他、二次回収(EOR: Enhanced Oil Recovery)用または環境保護対策として坑井内や油層に再圧入されます。焼却処理されるケースが大半だった余剰ガスについても、有効利用するための技術の研究・開発が進められています。

操業中のFPSOの生産設備
FPSOで生産された原油を輸送タンカー(前方)に積み出す様子

フローライン

海底から生産される油層流体をFPSO上の生産設備に受け入れたり、 FPSO上の生産設備で分離されたガスや水を海底に再注入するために使われるパイプを「ライザー(Riser)」と呼び、ライザーのように海底とFPSOをつなぐパイプ等を総称して「フローライン(Flowline)」と呼びます。

FPSOには、プラットフォーム上に設置された坑口装置(水道の蛇口のような機能)から油層流体を受け入れる場合と、海底にある坑口装置から直接油層流体を受け入れる場合があります。

プラットフォーム(固定式プラットフォームまたはTLPのような浮体式設備)上に設置された坑口装置からFPSOに油層流体を受け入れる場合、油層流体は海底パイプライン、パイプラインとライザーを接続するPLEM(Pipe Line End Manifold)、フレキシブル・ライザー(Flexible Riser)を介してFPSOへ流れます。

フレキシブル・ライザーは海底からFPSOまで油層流体を輸送するための鋼製のパイプで、波、風、潮流の力を受けて運動するFPSOの運動を許容するためにたわみやすい構造になっています。

海底にある坑口装置からフレキシブル・ライザーを介して油層流体を直接FPSOに受け入れる場合は、アンビリカル(Umbilical)と呼ばれる海底坑口装置を制御するための電力・油圧・信号ケーブルからなる複合ケーブルも装備されます。

沖合で使用される前のライザー
フレキシブル・ライザー。中央に浮きをつけてたわみやすい形状にしています。
海底坑口装置から油層流体を受け入れるFPSOの海底の様子