セミサブマーシブル
セミサブマーシブルの主たる用途は、掘削リグを搭載して海底油田・ガス田の掘削作業を行うことです。一つの鉱区の掘削が終了すると別の鉱区に移動して掘削作業を行えるのが強みです。その後掘削以外にも油田・ガス田のある海域にセミサブを係留して海洋石油・ガス生産設備として転用されるようになり、徐々に生産設備の選択肢として市場に広がっていきました。
石油・ガス生産設備用のセミサブは、固定式プラットフォームの使用が困難な大水深海域(水深1,000m超)や固定式プラットフォーム/TLPより比較的大きな生産設備の設置が可能です。また、固定式プラットフォーム/TLPと異なり新造以外にも先述のとおり既存のセミサブを改造して生産設備に転用する事も可能です。セミサブは貯油設備を持たないため、貯蔵積出機能を有するFSOと併用したり、パイプラインに接続して原油・ガスの積出を行います。
TLPとの比較
海底にある井戸の坑口には、井戸を制御する水道の蛇口のような機能を持つ坑口装置(Well Head: ウェルヘッド)が設置されます。海上に設置される坑口装置をドライツリー(Dry Tree)、海底に設置される坑口装置をウェットツリー(Wet Tree)といいます。
TLPは揺れの少ない特徴を利用して、Dry Treeを採用することが可能です。大水深海域ではDry Treeの設置が難しくなるため、セミサブマーシブルでは通常ウェットツリーを採用します。
ドライツリーの特長
- デッキ上に坑口装置を設置するため、数と場所に制限がある。
- オペレーション・保守整備にかかるコストが低い。
- 坑口設備をシンプルにできる。
- メンテナンスコストや時間を縮小できる。
- フローアシュアランスリスクが小さい。
- 一井戸当たり生産量をが比較的大きい。
- 可動範囲の制限が厳しい。
ウェットツリーの特長
- 複数の海底井戸からの生産が可能
- オペレーション・保守整備にかかるコストが高い。
- 開発計画に柔軟性を持たせることができる。
- 様々なハルに対応可能。
- 複雑なフローアシュアランスの課題に直面する可能性がある。
- 改修作業等での作業に確保が難しい作業船(設備)が必要となる。