TLP
TLPの特徴
TLPの浮体構造物には、常時垂直方向の強い力がかかり、上下動、縦揺れ、横揺れを小さく抑えることができます。台風・ハリケーン等の悪天候や多様な海深度、荷重に対応し、プラットフォームと海底との距離をほぼ一定に保つ事ができます。
浮体構造物は、上部構造物(作業台)、下部構造物(浮力体)、両構造物を連結するコラム(Column)と呼ばれる支柱で構成され、上部構造物上に石油・ガス生産設備(Production Facility)を搭載して、原油・ガスを生産するプロダクション・プラットフォーム(Production Platform)として使用されるケースが大半です。この場合、生産設備の他に掘削装置や発電機等のユーティリティ用の設備、消火装置、救命艇等の安全設備、ヘリコプター・デッキ、乗船して生産活動や浮体式設備の保守・点検を行う乗組員の居住設備等が設置されます。
TLPは、貯油設備を持たない構造であるため、プロダクション・プラットフォームとして使用される場合は、貯蔵積出機能を有するFSOと併用したり、パイプラインに接続して生産した原油・ガスを送ります。
一方、揺れの少ない特徴を利用して、井戸を制御するウェルヘッド(Well Head)と呼ばれる坑口装置(水道の蛇口のような機能)を海面上に設置することが可能です。海面上に坑口装置を設置することをドライ・コンプリーション(Dry Completion)と呼び、これにより1,000m超の深海油田でも陸上油田と同様に井戸の管理とメンテナンスを容易に行なうことが出来ます。TLPを、ウェルヘッド・プラットフォーム(Well Head Platform)として専用に使用する場合、生産設備を持つFPSOやセミサブマーシブルと併用されます。
- TLPが揺れにくい理由
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風船の糸を持って水中に沈めると、上に向かおうとする風船の浮力と糸を引く下へ向かう力によって糸は強く張り、半分沈んだ風船は動きにくくなります。
TLPの係留のしくみもこれと同じです。強制的に沈められたTLPの船体(=風船)の浮力が上に向かおうとする一方、テンドン(=風船の糸)が船体を下へ引っ張る力が働き、垂直方向に対して強い力がかかります。この力がTLPを厳しい海象条件下でも揺れにくくしています。