プロジェクト

エクイノール社ブラジル沖合プレソルト層バカリャウ鉱区向けFPSO 建造プロジェクトが正式契約発効

三井海洋開発株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:金森健)は、北欧最大のエネルギー企業であるEquinor ASA(以下「エクイノール社」、本社:ノルウェー・スタヴァンゲル)より、ブラジル沖合Bacalhau(バカリャウ)鉱区向けFPSO(Floating Production, Storage & Offloading system:浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備)を2020年1月に受注しておりましたが、本年6月1日にエクイノール社がFID(Final Investment Decision:最終投資決定)を行ったことに伴い、今般、本プロジェクトのEPCI(Engineering, Procurement, Construction and Installation:設計から機器購入、建造、据付までの一括工事)契約が正式に契約発効する運びとなりましたので、お知らせいたします。

本FPSOは、BM-S-8ブロック、及びCarcará North(カラカラ・ノース)ブロック内に位置し、エクイノール社がオペレーターを務め、ExxonMobil社、Petrogal Brasil社、及びPre-sal Petroleo SA社が参画するバカリャウ鉱区の開発プロジェクトに用いられます。Santos(サントス)海盆内のバカリャウ鉱区は、海底下約5,000mのプレソルト層(岩塩層直下の層)にある海底油田の一部です。

当社は、本FPSOのEPCIを請け負い、2024年に予定される原油及びガスの生産開始に向け、エクイノール社に本FPSOを引き渡すと共に、その後1 年のオペレーション&メンテナンス(運転・保守点検)サービスを同社に対して提供する予定です。なお、当社によるサービス提供終了後は、鉱区開発権の存続期間が満了する2053年までエクイノール社が、本FPSOのオペレーション&メンテナンスを行う予定です。

バカリャウ鉱区向けFPSOについては、2018年12月から当社を含む2社がPre-FEED(Pre-Front End Engineering Design:概念設計)業務を遂行しましたが、当社の設計の技術的優位性及び経済性が評価され、その後の2020年1月に当社とエクイノール社の間で実基に係る売買契約が締結されておりました。

日量22万バレルの原油生産能力、日量530百万立方フィートのガス生産能力、日量20万バレルの水圧入能力、200万バレルの原油貯蔵能力を持つ本FPSOは、当社米国子会社のSOFEC社が設計・納入するSpread Mooring(スプレッド・ムアリング:多点係留)と呼ばれる係留設備で、サンパウロ州沖合約185km、水深約2,050mの海上に係留されます。

近年、海洋石油・ガス開発プロジェクトの大規模化、大水深海域への移行に伴い、FPSOの大型化、及び複雑化が進んでいます。特にブラジル沖合のプロジェクト向けには、大型で複雑なFPSOが数多く投入されていますが、本FPSOは、その中でも最大級の原油及びガスの生産能力を持つ設備となります。

また、本FPSOは、当社と最新鋭の造船設備及び技術を有する中国の大連船舶重工集団有限公司(DSIC)が共同開発した「M350TM」を初めて適用するプロジェクトとなります。広い甲板面積を主な特長とする船体の採用により、本FPSOに要求される非常に高い原油及びガスの生産能力により複雑で大型になったトップサイド(搭載する生産設備)への対応が可能になりました。

さらに、本FPSOが搭載する発電設備には、ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせたコンバインドサイクル発電方式を採用します。高温排ガスを熱回収し、総合熱効率を向上させる発電方式を採用することで、当社はFPSOのオペレーション時における二酸化炭素排出量削減にも寄与していきます。

当社がエクイノール社から受注した初のFPSOである本FPSOは、ブラジルにおける海洋石油・ガス開発プロジェクト向けとして当社が手掛ける17基目の浮体式生産設備となります。

現在、当社が全世界でオペレーション&メンテナンスを手掛ける計17基のFPSO/FSOの内10基はブラジルの設備であり、さらにブラジル沖合でのオペレーション&メンテナンスに向け4基のFPSOを設計・建造中であるなど、ブラジルは当社にとって最も重要な市場のひとつです。特に、2006年に発見され、その可採埋蔵量の多さから、同国のみならず石油・ガス業界全体からも注目されるプレソルト層深海鉱区群では、2010年に当社設計・建造のFPSOが世界初の原油商業生産を達成して以来、当社は本FPSOを含め計9基 のFPSOを受注するなど、圧倒的な実績を誇っています。

バカリャウ鉱区向けFPSOの完成予想イラスト
  • 2010年10月に世界で初めてブラジル沖プレソルト層深海鉱区での原油商業生産を達成した「FPSO Cidade de Angra dos Reis MV22」をはじめ、当社グループで保有する以下5基のFPSOが、それぞれプレソルト層深海鉱区で稼働しています。
  • FPSO Cidade de Angra dos Reis MV22:Lula(旧Tupi)鉱区
  • FPSO Cidade de São Paulo MV23:Sapinhoá(旧Guará)鉱区
  • FPSO Cidade de Mangaratiba MV24:Iracema Sul(旧Cernambi Sul)鉱区
  • FPSO Cidade de Itaguaí MV26:Iracema Norte(旧Cernambi Norte)鉱区
  • FPSO Cidade de Caraguatatuba MV27: Lapa(旧Carioca)鉱区

さらに当社は、プレソルト層深海鉱区向けFPSO として、Sépia(セピア)鉱区向け「FPSO Carioca MV30」、Mero(メロ)鉱区向け「FPSO Guanabara MV31」、及びBúzios(ブジオス)鉱区向け「FPSO Almirante Barroso MV32」の計3基のFPSOを現在設計・建造中です。