係留設備

係留(Mooring)設備は、波、風、潮流から受ける力に対抗してFPSOを一定位置に保持する設備です。「100年ストーム」と呼ばれる100年に一度あるかないかの激しい嵐に遭遇してもFPSOの位置を保持し、洋上で石油・ガスの生産を行うFPSOの安全操業を支援する役割を担います。FPSOは係留装置によって水深20m程度の浅い海域から水深2,000m近い深い海域まで、幅広い水深の海域に係留されています。

FPSOは通常6~10本のチェーンまたはワイヤーで構成される係留索(Mooring Line)で海底と固定されます。

係留索とFPSOの船体との接続はタレット(Turret)方式が代表的で、回転構造を持つ巨大なベアリング(Bearing)を介して船体に接続されます。このベアリングのおかげで、FPSOは風見鶏のように波、風、潮流からの外力が最も小さくなるようにタレットを中心として自由に回転し、悪天候下でも安定した石油・ガス生産活動を行うことができます。

係留システムには多くの種類があり、環境条件に見合った最適なシステムが選択されます。オーストラリア北西海域や香港沖など台風が多く海象条件が非常に厳しい海域では、タレットが船体内部に位置するインターナル・タレット(Internal Turret)が多く使われます。台風が接近した場合にFPSOを係留装置から切り離し、安全な場所に避難することができる切り離し型のディスコネクタブル(Disconnectable)タレットが用いられることもあります。

Mooring Chain
Internal Disconnectable Turret
External Turret
Tower Yoke
Spread Mooring

東南アジア等のモンスーン地域では、タレットが船首外部にあるエクスターナル・タレット(External Turret)が多く使われています。水深が浅い海域ではタワーヨーク(Tower Yoke)と呼ばれる係留設備が使用されることもあります。

海象条件が穏やかな地域では、湾岸でのタンカー荷役に用いられるようなCALMブイによるものや、タレットを介さずに複数の係留索で直接船体を固定するスプレッドムアリング(Spread Mooring)と呼ばれる多点式係留も使用されます。

係留索とライザーの形状配置・解析のシミュレーション

ライザー :
海底から生産される油層流体をFPSO上の生産設備に受け入れたり、FPSO上の生産設備で分離されたガスや水を海底に再注入するために使われるパイプ

SOFEC社について

当社は2006年に係留設備のスペシャリストである 米国SOFEC社(SOFEC, Inc.)を子会社化しました。

1972 年に米国テキサス州ヒューストンで創業したSOFEC社(SOFEC, Inc.)は、業界リーダーとして、FPSO向けをはじめとする各種係留設備の設計、建造、据付けに関わるサービスを提供しており、これまで合計100基以上の係留設備を世界に送り出しています。また、業界で大きな信頼を得ているSOFEC社は、当社が関与しないプロジェクト向けにも係留設備を供給しています。

係留技術はFPSO / FSOにとって重要な要素技術であり、SOFEC社を子会社化しそのノウハウを当社グループ内に取り込むことにより、当社は顧客である石油開発会社のニーズにより適したソリューションを提案し、業界における競争力を一層高めてきました。

係留設備およびSOFEC社の詳細については、同社ウェブサイトをご覧ください。

SOFEC, Inc.