CO2分離の省エネの技術

FPSO

当社は、原油生産のために大規模なエネルギーが必要になるFPSOにおいて、CO2分離のための投入熱量低減を実現できる可能性のある技術の開発を進めています。

川崎重工業との共同開発

当社は2024年8月に川崎重工業株式会社とMOU契約を結び、FPSO 上のガスタービン排ガス中のCO2回収設備の共同開発のため、同社のCO2 分離回収技術「Kawasaki CO2 Capture(KCC)」で用いている固体吸収剤の適用評価試験を実施しました。

KCCでは、多孔体の表面にアミンをコーティングした固体吸収剤を用いており、吸収したCO2の脱離には未利用排熱等の低温熱源で脱離することが可能となり、CO2回収設備に使用する熱量を低減することができます。またKCC移動層システムは固定吸収剤を循環させて連続回収を行うため大規模のCO2の回収に適しており、コンパクトな装置設計が可能な事から、FPSOでの適用も充分に可能であると考えられます。

そのため、今回の評価試験では、固体吸収剤にFPSO上のガスタービン排ガスに合わせた模擬ガスを使って曝露試験を行うことで固体吸収剤の吸収性能や劣化速度を測定、評価します。

今年度からは上記評価試験の結果を元にFPSOの排ガス性状に合わせたプロセス開発、搭載可能エリアが制限されるFPSOでの設備設置面積の最小化、洋上での揺動に対する機器の最適設計を検討します。

KCCプロセス

  • 多孔体にアミンを担持した新規開発固体吸収剤を用いることで、従来方式より省エネルギーでCO2分離回収を実現
  • 吸収剤からのCO2脱離には、有効に利用できない廃熱(100℃以下)を利用可能
KCC(Kawasaki CO2 Capture)プロセス
画像提供:川崎重工業株式会社

KCCシステムの特徴 : 移動層システム

  • 吸収塔、再生塔、乾燥塔の3塔で構成
  • 連続回収を行い大規模プラントに適用可能
KCC(Kawasaki CO2 Capture)プロセス
画像提供:川崎重工業株式会社

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