当社が設計・建造しブラジル沖合で操業中のFPSO、世界経済フォーラムより 第4次産業革命をリードする世界で最も先進的な工場に認定 ~日本企業として初、南米認定工場としても初~
2020年01月15日
三井海洋開発株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:香西勇治)は、ブラジル沖合鉱区開発プロジェクト用FPSO(Floating Production, Storage & Offloading system:浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備)として洋上での原油及び天然ガスの生産活動に供されている “FPSO Cidade de Campos dos Goytacazes MV29”(FPSOシダージ・ジ・カンポス・ドス・ゴイタカーゼスMV29)の設計から機器購入、建造、据付までの一括工事を行うと共に、その後のオペレーション&メンテナンス(運転・保守点検=操業)サービスを提供してきましたが、このほど本FPSOが世界経済フォーラム(以下「WEF」)より第4次産業革命をリードする世界で最も先進的な工場「Lighthouse(灯台=指針)」に認定されました。
WEFは、1000件を超える製造現場を調査し、第4次産業革命の最先端技術の実用化で成功した世界で最も先進的な工場を「Lighthouse」として認定するプロジェクトを2018年より開始しました。2020年1月21日から24日にスイスのダボスで開催されるWEF年次総会(ダボス会議)に先立って、2020年1月10日に本FPSOの認定がWEFにより発表されました。本FPSOは、洋上の設備として、また、石油ガス業界のアップストリーム(探鉱・開発、採掘、輸送などの上流部門)の設備として唯一の「Lighthouse」です。さらに、日本企業の設備が「Lighthouse」に選出される事、及び南米の「Lighthouse」の選出は、本FPSOが初めてとなります。
本FPSOでは、予知保全のための高度分析、トップサイド(原油・ガス生産設備)のデジタルツイン、及び独自のデータプラットフォームを活用して、操業開始直後からダウンタイムを約65%削減することに成功するなど、石油ガス業界におけるデジタライゼーション(デジタル化によるビジネス・モデルの変革、新たな価値を生みだす機会を創出するための改革的手法)をけん引する洋上設備として知られており、その実績が評価され、今回の認定に至ったものです。
本FPSOは、当社のグループ会社が保有し、2018年6月からブラジルの国営石油会社であるPetróleo Brasileiro S.A. (ペトロブラス社)に対する20年間のチャーターサービスに供されています。
当社は、浮体式の海洋石油・ガス生産設備であるFPSO/FSOの設計、資材調達、建造及び据付に留まらず、リースおよび操業まで一貫して手掛け、顧客である石油開発会社に対し、原油・天然ガスの生産というトータルサービスを提供することができる世界でも数少ない企業として、本FPSOを含め、現在全世界で計17基のFPSO/FSOを同時操業中です。当社は、更なる企業価値の向上を目指す中で、FPSO/FSOの設計から20年以上に及ぶこともある操業までの全期間を通して、社会、顧客等の当社ステークホルダーに提供する価値であるライフサイクルバリューの最大化を第一の目標と定め、自社の浮体式生産サービスのデジタライゼーションを戦略の一つとして進めています。各FPSO/FSOには、1万個以上のセンサーが設置されており、また様々な経営・事業データも含め、人工知能等を用いたデータ分析、及びIoT活用による全体最適化を追求するデジタライゼーションを推進することで、当社が操業する複数のFPSO/FSOをより適切に統合し、運用をより安全かつ効率的にすることが可能になります。
本FPSOは、最先端技術の実用化を試験的に達成したのではなく、本FPSOをはじめとした当社操業中のFPSO/FSO上で適時開発される新しいアルゴリズム(算法)を指数関数的に短時間で複数のFPSO/FSOへとスケールアップし、フリート全体での付加価値の創生を実現している、という事実も、今回、本FPSOが「Lighthouse」に認定された大きな理由であると当社は考えています。