表層型メタンハイドレート回収技術開発における海底模擬地盤を使用した陸上試験実施のお知らせ
2022年10月27日
三井海洋開発株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:金森 健、以下「当社」)は、経済産業省資源エネルギー庁からの委託により国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)が実施している表層型メタンハイドレート回収技術開発に関わる要素技術開発に参加し、大口径ドリルを用いた広範囲鉛直掘削法による回収技術開発を進めております。このたび、海底下数10mにおける軟泥地盤を想定した模擬地盤にて掘削性能を確認する陸上試験を北海道北見市の「オホーツク地域創生研究パーク(北見競馬場跡地)」にて開始し、粒状のメタンハイドレートを効率よく回収できる性能に達していることを確認しましたのでお知らせいたします。
表層型メタンハイドレートは、低温・高圧環境の海底直下において、メタンガスと水が結晶化した氷状の固体として存在しています。日本の排他的経済水域(EEZ)のうち、日本海側の海底には、主に表層型メタンハイドレートの存在が確認されており、純国産のエネルギー資源として今後の開発が期待されています。
当社が開発を進める広範囲鉛直掘削法は、海底下の表層型メタンハイドレートを大口径・円盤状の掘削ドリルを用いて回収するものです。掘削ドリルの掘削能力を高めるためには、実地試験を行い、設計データを取得する必要がありますが、表層型メタンハイドレートが実在する水深500m以深の海底下でこれを行うことは容易ではありません。
そこで当社では、陸上での技術的な検証を可能とすべく、日本大学、北見工業大学、北海学園大学と共に表層型メタンハイドレートが内部に20%賦存する海底下数10mにおける軟泥地盤を想定した模擬地盤(粒状のメタンハイドレートを模擬したポリプロピレンボールと流動化処理土を利用)の開発を進め、今月中旬より、模擬地盤の製作を開始しておりました。模擬地盤が硬化し、試験の実施に十分な強度となったことを確認した2022年10月20日に今回の掘削試験を実施しました。掘削装置については業界トップレベルの海底掘削技術サービスを提供しているHMH社(https://hmhw.com/)からの協力を得て試験が実施され、軟泥中にある粒状のメタンハイドレートを効率よく回収できる性能に達していることを確認いたしました。
次回は、表層型メタンハイドレート100%を模した大型氷での掘削性能試験を、2023年2月に予定しており、2022年12月より北見工業大学と共に、試験場で自然に氷を積層させる手法にて厚さ1mの大型氷の製作を開始いたします。これらの掘削性能試験を通して、賦存状態の異なる様々な表層型メタンハイドレート開発対象域に適用可能な掘削技術であることを確認して参ります。
当社は、FPSO (Floating Production, Storage & Offloading system: 浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備) をはじめとする浮体式設備にかかわるトータルソリューションを提供する日本で唯一の企業です。FPSOの建造・操業で培った技術を転用し、日本近海の海底鉱床に眠る海底資源(メタンハイドレート)の洋上生産設備の製造及び運転に関する技術の提供を目指しています。