ブルーアンモニアFPSOのAiPをABSより取得
2025年01月30日
三井海洋開発株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:宮田 裕彦)は、東洋エンジニアリング株式会社(取締役社長 細井栄治、以下「TOYO」)と共同で、FPSO(浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備)で生産されるガスからアンモニアを製造するブルーアンモニア※1FPSOのAiP(Approval in Principle:基本設計承認)を米国船級協会(ABS)より取得しました。
このブルーアンモニアFPSOは、これまで特別な用途がなく貯留層に圧入されていた余剰随伴ガスからブルーアンモニアを製造し、貯蔵及び積出まで行います。また、随伴ガスからアンモニア (NH3)に変換する過程で生じるCO2を回収するだけでなく、ガスタービン自家発電機(GTG)からのCO2も合わせて回収する設備を搭載していることから、アンモニア製造に伴うFPSOからの二酸化炭素排出量を最小化することが可能となります。
なお、製造されたアンモニアを貯蔵して積み出す船体の開発には、三菱造船株式会社に協力いただきました。

今回の共同開発は、中期経営計画2024-2026 『イノベーションで持続可能な未来を拓く』において掲げている「浮体式代替エネルギー生産設備のコンセプト・デザイン」の第 1号という位置づけです。当社の FPSOプロジェクトで培った浮体式ソリューションにおける全体配置、船体設計、係留技術等の知見と TOYO の持つアンモニア製造プロセス設計技術やFPSO向け装置設計の知見を融合させることで、エネルギー・トランジションにおいて代替燃料や水素キャリアとしての働きが期待されるブルーアンモニアを洋上で生産するコンセプトを実現しました。
当社は、この AiP 取得を代替エネルギー生産のための浮体式ソリューション開発の第一歩として、今回の開発を通じて明らかになった商業化に向けた課題に対処し、このコンセプトの改良・深化に努め、安全で価格競争力のあるエネルギー供給ソリューションの提供を目指します。そして、持続可能な未来に向け、デジタルの活用や新規技術の開発などにより、FPSO における二酸化炭素排出量の最小化、そして世界のエネルギーサプライチェーンの低・脱炭素化に貢献してまいります。

右側:ABS ビジネスディレクター 大庭 亮氏
中央:三井海洋開発株式会社 技術部 ファンクションマネージャー、
ブルーアンモニアFPSO開発 プロジェクトマネージャー 村山 和孝
左側:東洋エンジニアリング株式会社 営業統括本部 カーボンニュートラル本部
本部長代行 西澤 勝弘氏
- ※1 ブルーアンモニア
化石資源を原料として製造されたアンモニアであるが、製造プロセスで発生するCO2の排出をCCS(Carbon Capture & Storage)などにより抑制されたアンモニア