プロジェクト

浮体式液化CO2貯蔵・注入ユニット(FSIU)のAiPをビューローベリタスより取得 ~CO2の海底貯留プロセスにおける洋上ハブとして脱炭素化に貢献~

 三井海洋開発株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:宮田裕彦、以下「当社」)は、LCO2 (Liquid carbon dioxide:液化二酸化炭素)を洋上で一時的に受け入れ、海底井戸に圧入する「LCO2 FSIU (Floating Storage & Injection Unit :浮体式貯蔵・注入ユニット、以下「FSIU」)」のAiP (Approval in Principle: 基本設計承認)をビューローベリタス(Bureau Veritas:フランス船級協会)より取得しました。

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AiP授与式 (Gastech 2025 in Milan) にて
写真左: Bureau Veritas, Executive Vice President, Industrials and Commodities, Matthieu de Tugny 氏
写真右: 三井海洋開発株式会社 代表取締役社長兼CEO(Chief Executive Officer) 宮田裕彦


 FSIUは、低温・低圧状態で輸送されたLCO2を輸送船から洋上で受け入れ、一時的に貯蔵したのち、大気から恒久的に隔離すべく高圧で海底の貯留層に注入します。タンク最小総貯蔵容量100,000㎥、年間最大1,000万トンのLCO2注入能力を実現するよう設計されており、船尾での積み込み(タンデム・ローディング、最大90,000㎥)と左舷側での積み込み(サイドバイサイド・ローディング、最大50,000㎥)の両方を装備することで、中断のない注入作業と、LCO2輸送船からの柔軟で効率的な積み込みを可能としています。船体は三菱造船株式会社と共同開発され、係留システムは当社米国子会社SOFEC社によるExternal Turretを搭載します。またトップサイドには二酸化炭素回収システムを搭載したディーゼルエンジン発電機を装備し、操業に伴うCO2の排出を最小限に抑えます。本ソリューションは、大規模かつ柔軟性と信頼性の高いCO2洋上貯蔵・海底井戸への注入ハブとしてFSIU機能させることにより、低炭素エネルギーへの世界的な移行を支援します。

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LCO2 FSIU(二隻のLCO2輸送船からの同時積み込みのイメージ図)

 以上のコンセプトは、株式会社商船三井(以下「商船三井」)の協力により開発されたもので、商船三井がLCO2輸送経験によって培った経験と市場での地位、安全な輸送・積出に関する手法がされています。

 また、この共同開発は、当社中期経営計画2024-2026 『イノベーションで持続可能な未来を拓く』で掲げた「代替エネルギーの浮体生産ソリューション」の一例として位置づけられます。二酸化炭素貯蔵・注入のコンセプトは、石油・ガスFPSOプロジェクトで培ったMODECの全体設計、船体設計、係留技術のノウハウと、商船三井のLCO2輸送のノウハウを活用しており、幅広い地域におけるプロジェクトおよび潜在的顧客をターゲットに設計されています。

 AiP取得にあたり、ビューローベリタスの技術的専門家によるFSIUに対する包括的な設計レビューが実施されました。レビューには船体構造、係留設備、LCO2の貯蔵及び取り扱い、そして注入システムに関連する主要な安全性の確認が含まれています。ビューローベリタスの規則や国際規約と照合した厳密な評価により、FSIUの技術的および運用上の実現可能性が検証されました。

 当社は、本件を代替エネルギー生産のための浮体式ソリューションのさらなる可能性の確認と捉え、今後も開発過程で生じた主要課題に対処し、コンセプトの改良と成熟に向けた努力を続けます。そして、先進的かつ信頼性のある技術と費用対効果の高いソリューション実現を通じ、CO2排出量の効果的な削減に貢献し、持続可能な未来に向けた技術の新規開発を通じて、世界の脱炭素化の達成に引き続き貢献します。


サステナビリティとイノベーション

当社は、中期経営計画2024-2026にて掲げているサステナビリティとイノベーションの方針に基づき、脱炭素化の推進と新規事業の実現に取り組んでいます。気候変動に対処する世界的な取り組みに協調することで、クライアントの脱炭素化目標をサポートし、環境、社会、ガバナンス(ESG)のプロファイルを強化することを目指します。当社にとってこれらの取り組みは、社会と環境に対する 当社の責任を反映するだけでなく、エネルギー分野における技術革新と持続可能な実践を推進するリーダーとしての地位を確立するものです。当社 は、積極的なCO2排出量削減イニシアチブを通じて、事業の将来性を確保し、市場競争力を強化し、より持続可能なエネルギー環境に貢献しています。

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