浮体式海洋石油・ガス生産設備向け洋上船体補修法に対する承認をABSより取得
2020年12月23日
三井海洋開発株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:香西勇治)は、東レ株式会社(本社:東京都中央区、社長:日覺 昭廣、以下「東レ社」)と共同で、FPSO(Floating Production, Storage & Offloading system:浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備)をはじめとする浮体式海洋石油ガス・生産設備向けに、CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastic:炭素繊維複合材料)を用いた洋上船体補修法を開発致しましたが、このほど本補修法が、独自の標準的な補修法として、ABS(American Bureau of Shipping:米国船級協会)の承認を受けましたことをお知らせ致します。
20年以上にもわたり、同じ海域に留まって石油・ガスの生産を続けることもあるFPSO等にとって、その船体部構造に対する腐食を避けることは困難です。腐食が進展すれば強度要件を下回ってしまいますが、補修・補強のために火気工事を実施することは、生産継続の障害になる上、陸から遠く離れていることが多い操業地への関連資機材の搬入は、容易ではありません。さらに、FPSO等には、乗員数の制約があるため、工事に携わる作業員の居室確保にも困難が生じることもあります。
このように特殊な前提条件の下、当社は、腐食の進展により強度的に劣化した船体部構造に対し、 VaRTM(Vacuum assisted Resin Transfer Molding:真空含浸工法)と呼ばれる工法を応用してCFRPを鋼材に貼付し、必要な強度にまで回復する新たな補修法を東レ社と共同開発しました。
この補修法は、資機材の搬入が容易で、火気工事を伴わず、少人数・短期間で施工可能という特長を有しており、石油・ガスの生産活動に与える影響を最小化しつつ、船体部構造の健全性の向上に寄与することから、24時間365日安定して石油・ガスを生産することを使命とする当社事業に対して大きく貢献することが期待されます。