プロジェクト

TLP方式による浮体式洋上風力発電の実証試験に向けた北海道石狩湾沖における調査の開始について

三井海洋開発株式会社(以下「当社」)、株式会社JERA、東洋建設株式会社、古河電気工業株式会社(以下、当社を含め「4社」)が実施するTLP方式1の浮体式洋上風力発電の実証試験に向けた準備の一環として、本日、北海道石狩湾における海底地盤調査(以下、「本調査」)が開始されますことをお知らせいたします。

本調査は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)により採択されたグリーンイノベーション基金事業の一環である4社による「TLP方式による浮体式洋上風力発電低コスト化技術検証事業2」のうち、実証試験に必要な海底地盤構造や特性を把握する目的で、当社が浮体・係留システムの適用環境条件を提供し、株式会社JERAが同社の想定する実証試験の海域において実施するものです。

4社は、今後のTLP方式浮体式洋上風力発電の実証試験を見据え、調査および計画検討を進めています。なお、実証試験の計画策定においては、地元の漁業関係者や住民、行政をはじめとする関係者との協議を重ね、ご理解いただけるよう、検討を進めてまいります。その中で、当社は風況や海洋観測結果に基づく浮体・係留システムの設計・最適化に加え、サプライチェーンの構築や低コスト化施工技術の確立を推進してまいります。

当社は、FPSO(Floating Production, Storage & Offloading system:浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備)をはじめとする浮体式設備にかかわるトータルソリューションを提供する日本で唯一の企業であり、世界屈指の企業として石油・ガス業界で広く知られています。なかでもTLP方式の浮体式海洋石油・ガス生産設備においては世界一の実績を有しており、その経験と技術により浮体式洋上風力発電の早期、かつ継続的な社会実装に貢献してまいります。

※1
TLP(Tension Leg Platform『緊張係留』)方式は、海底基礎との緊張係留により浮体を係留する方式です。波浪中における浮体の高い安定性から、今後の主流となりうる15MWクラスの大型ウインドタービンをコンパクトな浮体に搭載することが可能で、発電コストの低減が期待されます。また、TLP方式の係留索は、他の係留方式に比べて海面下での占有面積を1000分の1程度に抑えることができ、漁業や船舶運航など既存事業への影響をより小さくするため、優れた社会親和性が期待されます。

※2
日本政府の2050年カーボンニュートラル宣言の実現に向けたグリーンイノベーション基金事業の一環としてNEDOが募集した「洋上風力発電の低コスト化プロジェクト」【研究開発項目︓フェーズ 1―②】浮体式基礎製造・設置低コスト化技術開発事業において、当社を含む4社が応募し、2022年1月21日に採択されたおよそ2カ年の要素技術開発事業です。

当社が浮体・係留システム、東洋建設が係留基礎、古河電工が送電システムと、従前まで各社が検討してきた技術を、要素技術毎にシミュレーション、実証実験等を通じ検証するとともに、JERAより提示する設計・環境条件を基に、15MWクラスの発電実証設備の基本設計を実施します。また、発電実証後の商用プロジェクトの実現に向けて、量産化・低コスト化のためのサプライチェーンの検討も開始いたします。

TLP方式の概略図1
TLP方式の概略図
調査船の写真 / 提供: 株式会社JERA
調査船の写真 / 提供: 株式会社JERA

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