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表層型メタンハイドレート回収技術開発における大型氷模擬地盤を使用した陸上試験実施のお知らせ

三井海洋開発株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:金森 健、以下「当社」)は、経済産業省資源エネルギー庁からの委託により国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)が実施している表層型メタンハイドレート回収技術開発に関わる要素技術開発に参加し、大口径ドリルを用いた広範囲鉛直掘削法による回収技術開発を進めております。このたび、昨年10月の軟泥地盤を想定した模擬地盤を使用した掘削性能試験に続き、表層型メタンハイドレートと同等の強度を持つ大型氷の模擬地盤を使用した陸上での掘削性能試験(本試験)を実施し、表層型メタンハイドレート100%の地盤においても効率よく回収できる性能に達していることを確認しましたのでお知らせいたします。

昨年10月の試験では、表層型メタンハイドレートが内部に20%賦存する海底下数十メートルにおける軟泥地盤を想定した模擬地盤を使用し、軟泥中にある粒上メタンハイドレートを効率よく回収できる性能に達していることを確認しておりました。これを受け、同年12月からは引き続き北見工業大学にご協力いただき、同学が北海道北見市に所有する「オホーツク地域創生研究パーク」敷地内に直径約3mの鋼製タンクを4台設置して、市販氷と⽔を積層・⼀体化させ自然に氷を積層させる手法にて、表層型メタンハイドレート100%の地盤を模した厚さ1mの大型氷の製作を開始し、本試験の準備を進めておりました。

タンク内の氷が十分に凝固したことを確認した2023年1月31日以降、2月13日までに実質6日間にわたる掘削試験を実施しました。掘削装置については前回試験同様に、業界トップレベルの掘削技術サービスを提供しているHMH社(https://hmhw.com/)からの協力を得て試験が実施されました。ドリルには特性の異なる3種類の掘削刃を使用し、パラメーターを変更しながら4つの大型氷を掘削した結果、表層型メタンハイドレード100%の地盤においても効率よく回収できる性能に達していることを確認するとともに、実際の掘削機器の掘削性能を推定するための基礎データ、及び実際の掘削刃及び機器選定に必要となる基礎データの取得に成功いたしました。

今後は、202210月の試験及び本試験によって得られた基礎データをもとに、賦存状態の異なる様々な表層型メタンハイドレート開発対象域に対し最適な掘削刃の組み合わせ及び機器の選定、さらには必要動力・掘削能力等のシミュレーションを実施し、本回収技術の有効性、及び商業採算性を確認して参ります。

当社は、FPSO (Floating Production, Storage & Offloading system: 浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備)をはじめとする浮体式設備にかかわるトータルソリューションを提供する日本で唯一の企業です。FPSOの建造・操業で培った技術を転用し、日本近海の海底鉱床に眠る海底資源(メタンハイドレート)の洋上生産設備の製造及び運転に関する技術の提供を目指しています。

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試験場全体の様子(オホーツク地域創生研究パーク):北見工業大学提供

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掘削ドリル全容

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掘削後のタンク内大型氷の様子

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