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TLP方式の浮体式洋上風力設備に関するAiPを日本海事協会から取得

 三井海洋開発株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:宮田 裕彦、以下、「当社」)と東洋建設株式会社(以下、「東洋建設」)は、「TLP方式の浮体式洋上風力発電設備における浮体・係留システム」に関する基本設計承認(Approval in Principle、以下「AiP」)を一般財団法人日本海事協会(以下「ClassNK」)から取得しました。

 本AiPの取得は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)により、当社と東洋建設に加え、古河電気工業株式会社、株式会社JERAとともに採択されたグリーンイノベーション基金事業の一環である「低コストと優れた社会受容性を実現するTLP方式による浮体式洋上発電設備の開発」の開発項目の一つにあたる一体設計技術に関する成果となります。

 今回のAiPの対象範囲は風車本体を含まない支持構造物部であり、両社の所掌は、浮体及び係留における係留索やコネクターが当社、係留における杭基礎が東洋建設となります。

 当社は、2020年に浮体式洋上風力発電設備に関するAiPを海外船級であるDNVからも取得しており、日本国内で実証を行うことを見据え、実証時に必要となるウィンドファーム認証(WF認証)及び船級検査に係る審査の一部を先取りして実施することを目的として、今回はClassNKでのAiPを取得しました。本AiP取得にあたり、地震や津波に代表される日本特有の環境条件における検討も実施した上で、有識者からの意見も含め、ClassNKからは今後の開発や設計に資する貴重な意見を頂いており、実証試験時の検討に反映する予定です。

 三井海洋開発は、FPSO (Floating Production, Storage & Offloading system:浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備) をはじめとする浮体式設備にかかわるトータルソリューションを提供するリーディングカンパニーであり、世界屈指の企業として石油・ガス業界で広く知られています。なかでもTLP方式の浮体式海洋石油・ガス生産設備においては世界一の建造実績を有しており、その経験と技術により大容量風車搭載を可能にするとともに高い社会受容性と優れた経済性をもつ浮体・係留システムの早期実現に向けて取り組んでまいります。

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日本海事協会から取得したAiP証書
  • TLP(Tension Leg Platform『緊張係留』)方式は、海底基礎との緊張係留により浮体を係留する方式です。波浪中における浮体の高い安定性から、今後の主流となりうる15MWクラスの大型ウインドタービンをコンパクトな浮体に搭載することが可能で、発電コストの低減が期待されます。また、TLP 方式の係留索は、他の係留方式に比べて海面下での占有面積を 1000 分の 1 程度に抑えることができ、漁業や船舶運航など既存事業への影響をより小さくするため、優れた社会親和性が期待されます。

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