予期しないような事故を未然に防ぐよう問題点を明らかにし設計に反映させたりするのも大切な仕事のプロセスの一つです。

エンジニア(構造)

2017年4月入社
新卒採用
大阪大学大学院 工学研究科 地球総合工学専攻
シンガポール駐在

これまでのキャリア

2017.04 - 2018.12 技術部
  • FPSO 修繕プロジェクト
2019.01 - 現在 シンガポール駐在
  • 新規FPSO改造プロジェクト
  • 新規FPSO新造プロジェクト

MODECを選んだ理由 価値を自ら生み出せるエンジニアになるために

大学では船舶海洋工学を学び、船体の操縦性に関する研究をしていました。 そんな船舶系の研究をしていた私がMODECを知るのは自然な流れでした。学部生の頃に大学説明会のアレンジを大学OBの先輩社員から依頼されたことがきっかけで、当時は未だ就職の事など毛頭ないまま説明会に参加しました。会社については「作っているもの・扱っている金額・規模が桁違いに大きい」「エネルギー溢れる社員」「グローバル」と言った、会社説明を聞いた皆が抱く表面的なありふれた理解しかなかったです。会社への興味というよりも、FPSOの雄大で美しい姿に心惹かれとても興味を持ったことを覚えています。

数ある会社の中で私がMODECに入社を決めた理由は、エンジニアが主体的に価値を創造できると感じたからです。 就職活動を本格的に開始した後、MODECの会社説明会に再度参加し、エンジニアとして働く先輩社員の方々に何度も会う機会を設けてもらいました。ひとりひとりが若いうちから重要な役割を任せられていること、そして武器として技術を磨きそれを使って会社のビジネスにも大きく貢献していることを実体験として聞き、売り文句を鵜呑みにしていた表面的な理解から、社員の生のストーリーから自分でもそうだろうなと想像するのが自然になったことで、是非入社して自分もその一員になりたいと思い、入社を決意しました。

私の仕事 厳しい洋上の環境で施設がずっと無事で居られるような設計

現在はシンガポール支社へ出向し、エンジニアとして構造グループに所属しています。主な担当業務はFPSO新規建造プロジェクト(EPC)の構造設計を行っており、実際に設計した構造は船体・タワーヨーク支持構造・フレアタワー・トップサイドモジュール等です。

構造設計者の最低限の役割は、配置された機器等が適切に機能するスペースを保ちつつ、設計寿命の中で想定されるすべての自然現象及び機器・配管等から生じる荷重に対して安全である構造物の図面を提供することだと考えています。それを達成するため関係各グループと密にコミュニケーションをとり必要な情報を収集し、解析によって適切な構造評価を行い、図面に落とし込むのが私の日々の主な仕事です。

また、MODECで建造されるFPSOのほとんどが規模と技術的な側面から世界で最先端のものに挑んでいるので、残念ながら建造後に業界の誰もが予期もしなかった損傷や事故も起こってしまいます。一旦事故が起こってしまうと、洋上では沢山の制約がありますし、コストもそれだけ高くなる為、究極のミッションはFPSOが出航してから最大30年にもなる設計寿命に渡り、なにも技術的サポートの依頼が現場から来ないよう構造設計をすることです。弊社でエンジニアとしてEPC側で働く際には、そういった起こってしまった事故を新規案件で如何に防ぐかを考えたり、むしろ想像力を振り絞ることで、予期しないような事故を未然に防ぐよう問題点を明らかにし、設計に反映させたりするのも大切な仕事のプロセスの一つです。

「自分が設計したMV32 Flare Tower吊り上げ・搭載中の写真」自分の設計した構造が無事搭載されるかはドキドキとワクワクが相まって独特の感覚をもたらしてくれます。

やりがい 点と点が線で繋がり、線が集まり面を形成する

MODECで働く日本のエンジニアは、設計だけではなく建造や運用の現場を担当することもあり、FPSOという事業について技術的な側面から幅広く経験を積んで理解を深めていきます。私自身も中国の設計現場、ブラジルの補修業務、そしてシンガポールの設計事務所を経験しました。それぞれの現場、事務所は子会社になっており、基本的にはそれぞれの業務に特化した社員が働いているので、そうした環境に飛び込んでいって仕事をするのは容易ではありません。始めはいつも知識、経験の差や周囲の同僚との信頼関係の構築に苦労します。

しかし、設計、建造および運用について幅広く知っているということは大きな強みであり、実際に一つの業務に特化して仕事をしている人よりも活躍する場面は多いです。例えば、運用現場では設計図の読める人が少なく私が補助する場面が多くありましたし、一方で運用中の保守点検の頻度やコストを知っていることで、長期的なシステムの稼働率と包括的なコストが最適になるような設計ができるようになりました。周辺の知識が活きるのは設計と運用の間だけではありません。建造現場でも設計や運用の知識は役立ち、その逆もまた同様です。

このように一つ一つの知識の繋がりが増えてくると、そのシステムについての全体像が見えてきます。FPSOという複雑かつ大規模なシステムに対して、設計、建造、運用といった色々な視点を得ることができ、そして初めてその本質が見えてくる、これがMODECで働くことの醍醐味であると思います。

心掛けていること 小さな構造亀裂が莫大な損失をもたらす

「MODECでは若手からバンバン海外に行って仕事をする」そんな話をどこかで見聞きした方も少なくないと思います。私はそれを身をもって体感する仕事がありました。

入社して半年も経たない頃、ブラジルの既存FPSOのひとつでフレアタワー(オイル精製の際に生じる有害な余剰ガスを無害化する為の焼却塔)に構造亀裂が生じる事故が発生し、その補修のエンジニアリングサポートに従事しました。 このフレアタワーはオイル生産に欠かせないフレアリング設備を支える構造物で、構造の安全が担保されるまでは生産停止を余儀なくされ、停止期間中は1日に数千万というオーダーの損失を伴うという状況でした。一刻も早くこの状況を止めるべく、ブラジルのオフショア・オンショアそしてシンガポールのエンジニアリングオフィスが一丸となり補修プロジェクトに取り組みました。

私が出張で働いていたシンガポールオフィスでは、日々変化する損傷状況に対応した補修案を準備すべく、2交代制で文字通り24時間の現場のサポートを行っていました。初日の深夜にブラジルと損傷の状況をオンラインミーティングで確認した際、前日から数センチ亀裂が伸びたレポートを聞き、こちらの責任者の絶望にも近い溜息が誰も居ない夜中のオフィスに響いたあの瞬間を今でも容易に思い出すことができます。

そんな緊迫した状況下、しかも自分が何かやらないと業務が進まない状況にも関わらず、お世辞にも一人前とは言えない自分の能力がもどかしかったです。日々もがきながらも自らできることを見つけ、少しでもチームとしてプロジェクトを前に進められるよう淡々と課題を解決していくというチームワークを諸先輩方から学ばせてもらいました。

約2カ月のエンジニアリング及びオフショア工事の末、FPSOはオイルの生産を再開しました。 稼働再開を告げるフレアの炎をメールで見たときには微力ながらもプロジェクトに貢献できたのだと強く実感することができました。自分の仕事が会社に直接貢献していると体感できることはそうそう無いので、無事完工した今となってはこの仕事自体が貴重な体験だったなと感じます。

これらの経験を通じ、FPSOでは1つの構造亀裂でさえも莫大な損失につながることを痛感しました。そして現在はフレアタワーを直す側から、作る側に立場を変えて仕事をしています。自分や会社が大変な思いをしたことを直に体験して、二度と同様の事故が起きないよう設計・建造のクオリティを担保するよう努めるという今の私の仕事の礎となっています。

「MOPS構造Gr.の会食にて」中華系の方々の中で一人日本人が入って働くのは難しくも生の文化に触れられる貴重な機会です。

就活中のみなさんへ

やりたいことは何か、自分と真摯に向き合う

MODECは主体的に動けばやりたいことは大抵の事ができる会社だと思います。社中の局所を見れば未熟な箇所もあるので、問題だと思ったことを具体的にどうしたいか提案すれば、それを尊重しそのまま担当者として進める機会を与えてくれる懐の深い会社です。なので自分がやりたいことを明らかにして、それを実行する場をどこに定めるかが就職時の1つのポイントじゃないかなと思っています。

「親ガチャ」は天授のもので引き直しが効きませんが、「会社ガチャ」は自分の価値観でリセマラランクも設定できるし、努力である程度狙ったものを出せます。なので、たくさん今のうちに自分のやりたいことを明らかにする為にも、自分に対して真摯に向き合う時間を作って欲しいです。 やりたいこと・興味に被るところが弊社のビジネスのひとつにあるのであれば、チャレンジの場所としてMODECを選ぶ価値があると思うので、もっと良くしてやろうという気概にあふれた方と一緒に働ける日を心待ちにしています。